歯周病とは「サイレントキラー」といって、痛みもなく症状が進行し、気づいた時には既に手遅れ(抜歯)となってしまう病気です。このページをご覧いただいている方は既に、歯の動揺や口臭、膿・腫れ・痛みなどの「自覚症状」が出てしまっている方だと思います。そのような方々へ、当院で実施している歯周病治療をご紹介いたします。
「ちょっとチクッとしますね」と言われて、何やら歯科器具で歯ぐきを「ツンツン」されたことはありませんか?
これは歯周ポケットを測定(ブローピング)し、歯周病の進行度合いをチェックする検査です。
歯周病治療では、まずこの検査をしなければどのような治療をすべきかの戦略が立てられません。
患者様に「このような経験(ツンツン)はありますか?」と聞くことがあるのですが、「ありません」「1度だけ経験したことがあります」というご返事をよく頂きます。つまり、多くの歯科医院ではこの検査をほとんどやっておらず、やったとしてもたまにやる程度だという事が分かります。
先ほどもお話ししたように、この検査は歯周病治療では避けて通れない検査であり、かつ、1度だけでなく定期的に行わなければならない検査です。この検査をしないという事は、羅針盤と海図をもたずに航海することと同じであり、現在どこまで歯周病が進行しているのか、そして、どのような治療をすればいいのかを考えずに治療を進めていることと同じです。歯周病の治療をする際、この検査をしっかりしてくれるか否かを歯科医院選びの1つの基準としてもよいと思います。
当院では「次亜塩素水」を併用した超音波スケーリング(歯垢・歯石の除去)行っています。
次亜塩素水には殺菌効果・消炎効果以外にも「バイオフィルム」と呼ばれるベトベトした膜(バリア)を効果的に除去する効果も持ち合わせていますので、次亜塩素水を利用しない場合と比べ、歯周病の根源である、歯垢・歯石除去、そして殺菌を高い確率で望めます。
歯周病治療は歯周病の原因となる「歯垢・歯石・バイオフィルム」を物理的に除去する方法が一般的ですが、最近では、「薬」で歯周病菌を直接除去する治療法も行われてきています。
位相差顕微鏡という細菌を見ることが出来る装置で、お口の中で悪さをしている原因菌の種類を調べ、確認された細菌に効く抗生剤や洗口液を使用していただきます。この療法を行うことで悪さをする細菌数が減りお口の状態が改善されます。下の画像が治療前と治療後の細菌の状態です。
一見すると、この治療法だけで、歯周病のすべてが改善するように思われると思いますが、そうではありません。歯周病菌は感染症ですので、完全に細菌を死滅させたとしても、これまでと同じ生活習慣を続けていたら、また感染増殖しお口の中で悪さをします。そうならないために、「おうちでのホームケア」、「歯科医院でのケア」を継続させ、健康な状態を維持させるという認識が大切です。
歯周病治療は、予防メンテナンスのプロフェッショナルである歯科衛生士が歯科医師と密接に連携して治療を行っております。
歯科衛生士とは、単なる歯科医師のアシスタントではなく、文部科学省や厚生労働省から指定された専門学校を卒業し、国家資格を持つ専門職です。つまり、歯周病や虫歯から歯を守るための治療を行うことができるスペシャリストなのです。
他医院では、患者様の歯周病治療を歯科衛生士任せにしているところもありますが、当院では幅広い知識と経験を持った歯科医師と歯科衛生士が密接に連携することで、さらなる治療効果を実現しています。
歯周病治療は他の治療と比べ、特に患者様のご協力が必要になる治療になります。
患者様にご協力して頂くためには「歯周病に対する理解」と「口腔内の現状理解」が必要です。そのために当院では様々な「情報提供ツール」を活用し、患者様に納得して頂けるまで説明を行います。例えば、レントゲン画像で骨の状態の報告、位相差顕微鏡による口腔内細菌の状態の確認、術前術後の状態を写真でお見せする等のことです。
歯周病治療をすると「歯が長くなってしまう」ということを聞いたことがあると思います。
実際、歯が長くなったように見えるのですが、これは「本来の健康な状態に戻った」と言った方が正確です。
歯周病が進行すると歯茎の骨がドンドン溶かされると共に、炎症を起こして歯肉が腫れあがります。
歯茎の骨が溶かされれば当然歯茎もドンドン下に下り歯の根が露出してきて歯が長く見えてしまうのですが、炎症により歯肉が腫れあがりますので、外からは歯が長くなった状態を確認することができません。
しかし、歯周病が改善することで歯肉の炎症が治まり、本来の歯の姿が見えてくる事になります。
「お口の健康は取り戻せたけど、見た目はなんとかならないの?」
治療を終えたから方良くこのような質問を受けます。
当院では「歯肉移植術(FGG/CTG)」という方法で、この「見た目」改善に取り組んでいます。簡単に説明しますと、上顎の歯茎から歯肉を取ってきて、見た目が悪い部分に移植するという方法です。
歯肉移植術は高度な技術を要しますのでどの医院でも行っている訳ではありません。
「お口の健康」と「美」を追求したい方、是非当院にご相談にいらしてください。
歯周病が進行すると、「歯がグラグラ」してきます。
これは、歯周病菌により顎の骨がどんどん溶かされ、歯をしっかり支えられなくなったために起こる症状です。
そのままにしていると、ある日突然「ポロッ」と歯が抜け落ちてしまいます。
基本的に一度骨が溶けてしまうと元に戻ることはありません。
ではどうするのか?
ここで骨再生治療が登場します。
要は溶けて減ってしまった骨を再生させ、歯が抜け落ちてしまう事を防止する治療だと思って頂ければと思います。
当院では、「エムドゲイン法」「GTR法」という骨再生治療を行っております。
エムドゲイン法を簡単にご説明しますと、エムドゲインゲルという薬を患部に塗ることで、本来備わっている骨の再生能力を発揮させる療法です。
この治療法では、エムドゲインゲルという薬剤を使用するため、身体への安全性について患者様からご質問されますが、身体への悪影響はありませんのでご安心ください。
「メンブレン」という特殊な膜を活用することで骨を回復させる療法を「GTR(Guided Tissue Regeneration)法」といいます。
骨にはもともと再生能力が備わっていますが、骨よりも歯肉の再生スピードが速く、骨が再生されるはずのスペースを歯肉が覆ってしまうため、通常骨は再生されません。
しかし、メンブレンを用いることで、骨が再生されるスペースを歯肉に邪魔されることなく確保することができるため骨を再生させる事が可能となります。
個人差はありますが、おおよそ数か月後には、新しい骨が再生されます。
このように当院では骨再生療法を積極的に実施しておりますので、他院で「歯を抜かなければなりませんね」と言われた方、重度歯周病の方、どうしても歯を残したいとお考えの方、一度当院にご相談ください。
下の画像は当院での骨再生療法の治療前・治療後の画像になります。
あまり知られていない事ですが、歯周病はお口の中だけではなく、全身疾患との関連性もあります。
関連性が報告されているものとして次のものがあります。
歯周病との関連でよく言われるのが、「糖尿病」「心臓病」「早産」です。
- 糖尿病との関連
- 重度の歯周病の場合、軽度の人に比べ2年後に糖尿病が悪化している率が5倍高くなります。
- 心臓病との関連
- 歯周病菌の作りだす物質が血液中に流れ動脈硬化を起こすのではないかと考えられており、心筋梗塞や狭心症を引き起こす原因となります。
健康な人に比べ心臓病発症の危険率が2.8倍といわれています。 - 早産・低体重児との関連
- 低体重児を出産した母親の方が歯周病が進行していたという報告があります。
また、妊娠中の歯周病をそのままにしておくと早産の確率が高まります。
他にも「ガン」「肺炎」「脳卒中」などとの関連性が指摘されています。
研究が進み、今や歯周病は、お口の中だけの病気ではないというのが専門家の共通認識です。「歯周病=歯を失う」という認識ではなく「歯周病=命にかかわる場合もある」という認識の転換が必要です。